『グロースハック完全読本』は、グロースハックという言葉自体を生み出したショーン・エリス氏と、Facebookのプロダクトマネージャー(英語ではProduct lead)を務めるモーガン・ブラウン氏が共著した書籍です。
英語版(”Hacking Growth”)は、アマゾン(amazon.com)にて82 件ものカスタマーレビューがついており、5つ星が88%を誇る大人気書籍となっております。
今回は、グロースハッカー集団であるEXIDEAのJOURNAL編集部が、大人気の『グロースハック完全読本』を読んだレビューを書き、その魅力を伝え致します。
このレビューを読んで頂ければ、どのような内容の本で、なぜこれほどの人気を誇るのかがお分かり頂けるでしょう。
目次
『グロースハック完全読本』とは?
引用元:https://www.amazon.co.jp
著者情報
前述のように、『グロースハック完全読本』は以下の2人によって共同執筆された作品です。
- ショーン・エリス
- モーガン・ブラウン
ショーン・エリス(Sean Ellis)
ショーン・エリス氏は、グロースハックという言葉を生み出した伝説的なグロースハッカーで、初期Dropboxの成長を支えた人物です。
Dropboxを去った後も、いくつもの伝説的なグロースハック事例を残したショーン・エリス氏は、自らWEBサイト(https://growthhackers.com)を立ち上げ、グロースハックのノウハウを共有したりと、企業の成長を支え続けています。
モーガン・ブラウン(Morgan Brown)
モーガン・ブラウン氏は、Facebookの現プロダクトマネージャーで、シリコンバレーの有名アクセラレーター500 Startupsでグロースメンターとして活躍していた人物としても知られています。
『グロースハック完全読本』の構成
『グロースハック完全読本』は下記の2段構成です。
前半の内容は、グロースハックの基本を以下の4項目で解説しています。
- グロースチームの作り方
- プロダクトがどれだけユーザーに愛されているか調べる方法
- 成長を極大化するための指標、北極星(ノーススター)について
- 高速で成長するためのPDCAを回す方法
そして後半では、グロースハックの実践編として、
- ユーザーを「獲得」する方法
- 製品・サービス利用の「活性化」する方法
- 活性化された状態を「維持」する方法
- 「収益」を最大化させる方法
上記の内容を、有名企業の成功事例を交えながら記しています。
この本はすべてのグロースハッカーにおすすめ!そう思う3つの理由とは?
『グロースハック完全読本』を手に取った瞬間から、読み終わるまで、1ページ1ページが学びに満ちており、グロースハック戦略書の最高傑作と呼ぶのにふさわしい本だと心から感じました。
ここでは、なぜそう思うのかを解説していきます。
①生のグロースハック事例が惜しみなく紹介されている
『グロースハック完全読本』が最高傑作だと思う1つ目の理由は、日本では知り得ないような有名企業の事例がいくつも紹介されていることです。
グロースハックの成功事例が紹介されている有名企業には、以下があります。
- Airbnb
- Evernote
- Yelp
- Hubspot
誰もが知る有名企業ばかりですよね。『グロースハック完全読本』では、上記企業のグロースチームを率いているイノベータたちの洞察も含まれており、この一冊で豊富な成功事例に触れることが可能です。
例えば、Twitterがいかにして、どのような分析を用いて、成長に必要な指標を見つけ出したのか。創業期に成長の糸口をなかなか掴めずにいたYelpが、なぜ世界で1億以上のユーザーを持つプロダクトになったのか。
といったような、リアルな成功事例が公開されています。
それも中の人間しか知らないような情報ばかりなので、それらの事例を見ることで、自分の会社やビジネスに新しい知見を取り入れたり、成功へのイメージを具体的に掴むことが可能になるのです。
②グロースハックが体系化して説明されている
『グロースハック完全読本』が最高傑作だと思う2つ目の理由は、この書ではグロースハックという概念があまりにも分かりやすく体系化されてまとめられているためです。
本書によれば、グロースハックは以下の手順で進めると言います。
- プロダクトのアハモーメントを見つける
- マストハブサーベイを行い、PMFを測る
- 成長戦略に意味のある指標、北極星(ノーススター)を見つける
- 高速で実験をし続ける
上記に加えて、グロースハックのフレームワークとして知られているAARRRモデルにそって、それぞれの段階で、取るべき戦略、加えて成功事例が事細かに記されています。
『グロースハック完全読本』で紹介されているフレームワークに沿って戦略を練り、実験を繰り返していけば成長のヒントを必ずつかめる内容です。
③グロースハックの生みの親が書いている
グロースハックの生みの親であるショーン・エリス氏が書いている本であること。これも『グロースハック完全読本』が最高傑作である所以です。
シリコンバレーで絶大な影響力を持つショーン・エリス氏だからこそ知り得る、多くの有名企業の成功事例があります。ショーン・エリス氏だからこそ、グロースチームから話を引き出せたのでしょう。
加えて、ショーン・エリス氏が数々のスタートアップを大きな成功に導く際に行った実験や、マストハブサーベイなどの調査内容が事細かに記されています。ショーン・エリス氏本人でなければ、ここまでのリアルな感覚は伝えられなかったはずです。
今から使える!本書籍のおすすめポイントを紹介
さて、上記では、『グロースハック完全読本』が最高傑作である3つの理由を見てきました。どのような本なのか、なぜおすすめかが少しずつ分かって頂けたでしょうか。
ここからは、まだ抽象的に感じられる『グロースハック完全読本』の中から、今日からすぐに使える、コンセプトや手法をいくつかピックアップし、ご紹介いたします。
アハモーメント(aha moment)
アハモーメントとは、プロダクトの価値をユーザーが最大限に感じた瞬間を指します。
そのプロダクトが存在する意義やベネフィットをユーザーが体験した瞬間のことです。
『グロースハック完全読本』によると、このアハモーメントが見つかることがグロースハックを行う上での前提条件だと言います。
アハモーメントがないプロダクトはユーザーから愛されておらず、故に成長する可能性がありません。
アハモーメントの例は以下です。
Uber | ボタン一つで、黒塗りの高級車が迎えに来てくれる体験 |
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Yelp | 信頼できるコミュニティのレビューから良さそうなレストランや業者を探せる体験 |
友達や家族と近況をすぐにシェアできる体験 | |
Dropbox | 簡単にファイルを共有したり、無制限のストレージを使う体験 |
これらのアハモーメントをユーザーが体験し、ヘビーユーザーへと変化していくことがグロースハックを行う上では非常に重要なのです。
また、アハモーメントを体験し続けると、ユーザーはやがてプロダクトをマストハブ(無くてはならない存在)だと感じます。
マストハブになっているかどうかは、次のマストハブサーベイで調査することが可能です。
マストハブサーベイ(Must-have survey)
マストハブサーベイはショーン・エリス氏が開発した調査方法。以下の質問をユーザーに問いかけます。
-
- Qもし、明日からこのプロダクトが使えなくなったら、どれくらいがっかりしますか?
- すごくがっかりする
- 少しがっかりする
- がっかりしない(役に立っていない)
- 既に利用していない
ショーン・エリス氏によれば、『すごくがっかりする』が40%を超えるプロダクトはマストハブになっているとのこと。その場合は、成長戦略に向かって舵を切るべきだと言います。
逆にマストハブになっていないプロダクトは、プロダクトそのものを改良することが必要です。でなければ、これ以上の成長は見込めません。
北極星(ノーススター)
実際に、グロースハックを行う上で、成長に寄与する最重要指標を発見し定義することは非常に重要です。
その指標をグロースハックの世界では北極星(ノーススター)と呼びます。
北極星が定まっていない企業は、成長するための指標を見誤っており、意味のない指標の改善に取り組んでしまうため、結果が出せません。
一方で、北極星を適切に定められれば、成長するための改善施策に一気に力を注げるようになります。
北極星の例は以下です。
- Whatsapp:送信メッセージ数
→無料で世界のどこからでも家族や友人に無制限でやり取りができる体験がアハモーメントのため
- Airbnb:宿泊予約数
→暮らすように旅をする体験がユーザーのアハモーメントのため。そのため、ユーザー数やアプリのダウンロード数、アクティブユーザー数は北極星とはならない。
このように、適切な北極星を定め、その指標の改善に集中して取り組んだ結果、上記の企業は圧倒的な成長を遂げることができたのです。
まとめ:『グロースハック完全読本』はグロースハッカーにとって最高の教科書
ここまで、『グロースハック完全読本』のレビューを書きと要点を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
『グロースハック完全読本』はグロースハックという手法を、高度に体系化したもので、WEB業界でなくとも、ビジネスのグロース、成長に応用できるようになっている最強の教科書だという印象を受けました。
そのため、グロースハックをしたい人はもちろんのこと、マーケティングに従事する方、ひいてはビジネスに関わる全ての人にとっておすすめの本であると、胸を張って言えます。
グロースハッカーにとっては必読ですね。
それでは、最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。EXIDEA JOURNAL編集部の吉高がお送りしました。