アメリカにおけるアフィリエイトマーケティング最新動向

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アメリカにおけるアフィリエイトマーケティング最新動向

成功報酬型広告によるマーケティング手法、アフィリエイトマーケティング。広告主にとっては経済的リスクの少ないマーケティング手法、またアフィリエイト広告を掲載するメディアにとっては貴重なマネタイズ手段の1つとして利用されています。
 
アフィリエイトマーケティングはアメリカの企業も積極的に活用する手法で、市場規模は日本と比較して2倍以上、かつ現在も拡大傾向にあります。アメリカのアフィリエイトマーケティングは特にどんな業界・商材で積極的に活用されているでしょうか?また日本のアフィリエイトマーケティングにとってアメリカから学ぶことはあるでしょうか?
 
この記事では、アメリカのアフィリエイトマーケティングの現状や成功事例など、広告主側・メディア側それぞれの最新動向を紹介します。

青木綾青木 綾(RYO AOKI)


EXIDEA米国支社「EXIDEA GLOBAL USA INC.」代表。2002年株式会社リクルートに入社、就職情報サイト「リクナビ」や宿泊予約サイト「じゃらんnet」等のサービス開発やプロデューサー業務に従事。2014年に同社を退職後、アメリカ・カリフォルニア州・ロサンゼルスに移住。現地で日本語情報誌を発行する「Lighthouse」のVice Presidentを経て、2018年より現職。

アメリカにおけるアフィリエイトマーケティングの現状

コンバージョンやクリック、会員登録・メルマガ登録など事前に設定した成果から、広告主が広告を掲載したメディアに報酬を支払うアフィリエイトマーケティング。日本だけでなくアメリカでも一般的なマーケティング手法の1つで、広告主には経済的リスクの少ない広告マーケテイング手法である点が、またメディアはユーザートラフィックをマネタイズする手法の1つとして、価値・メリットのあるマーケティング手法と認知されています。
 
このアフィリエイトマーケティングを積極的に活用するアメリカの企業が増えています。初めにアメリカにおけるアフィリエイトマーケティングの現状を、市場規模などのデータを交えて紹介します。

アフィリエイトマーケティングの市場規模~日本とアメリカの比較

アメリカのアフィリエイトマーケティング市場規模

アフィリエイトマーケティング市場規模の推移(アメリカ)

アメリカのRakuten marketingとForresterが共同で実施した調査によると、アメリカのアフィリエイトマーケティング市場規模は2020年で68億ドル(約7,400億円)になる見通しで、2015年から2020年にかけての年平均成長率(CAGR)は10%以上と拡大し続けています。
(出典:Networks Help Drive Affiliate Marketing Into The Mainstream

日本のアフィリエイトマーケティング市場規模

アフィリエイトマーケティング市場規模の推移(日本)

一方、日本のアフィリエイトマーケティング市場規模は株式会社矢野経済研究所の調査によると2020年時点で約4,000億円規模。アメリカと比較して市場規模は半分近くと小さいですが、日本のアフィリエイトマーケティング市場も年平均成長率10%以上で拡大しています。
(出典:アフィリエイト市場に関する調査

日本・アメリカのいずれも、消費者の購買活動のEC化に伴うデジタルマーケティング市場全体の規模拡大や、アフィリエイトを活用する広告主の増加が、アフィリエイトマーケティングに投下される広告予算の増加理由と考えられます。

アフィリエイトマーケティングを活用するアメリカの業界・企業

前述のRakuten marketingとForresterによる共同調査では、アメリカで広告出稿の意思決定経験がある151名のうち、80%以上がアフィリエイトマーケティングを採用しており、10%以上の広告予算を割いていると回答、アメリカでアフィリエイトマーケティングの活用が浸透している樣子が伺えます。

アフィリエイトプログラムのカテゴリーTOP20

アフィリエイトプログラムの多い業界カテゴリー上位20(出典:https://www.amnavigator.com/blog/2015/09/25/analysis-of-best-affiliate-programs-top-20-niches/)

またアメリカの主要アフィリエイトサービスプロバイダーが提供するアフィリエイトプログラムから550件を抽出、カテゴリ別に分けた分析結果では、上位に「ファッション」「スポーツ・アウトドア」「健康・美容」カテゴリが並び、特にこれらの業界でアフィリエイトマーケティングの活用が進んでいる樣子。消費者の購買行動がオンライン化している業界や商材ほど、アフィリエイトマーケティングの活用が進んでいるようです。

また企業がアフィリエイトマーケティングを活用する理由に、

●マーケティング効果を測定可能
●広告掲載メディアを制限し、特定セグメントのカスタマーにターゲティングしてアプローチすることも可能
●予め広告費用対効果(ROI)を、成果報酬として設定・固定可能

などを指摘する声が多いですが、特にアメリカでは「費用対効果」を重視してアフィリエイトマーケティングを利用する企業が多い樣子。このため、マーケティング活動の費用対効果を改善・見直したい企業が、今後新たにアフィリエイト広告を利用する機会も多そうです。

アフィリエイト広告でマネタイズに取り組むメディアも増加

同様にRakuten marketingとForresterの共同調査では、アメリカのメディアサイトの決裁者151名が対象の調査も行っており、このうち84%がアフィリエイト広告用のコンテンツを作成していると回答しています。

メディアサイトが積極的にアフィリエイトに取り組む背景には、消費行動の変化もありそうです。例えば、仮にECサイトで商品を見つけても、購入前に必ず他のメディアサイトで評判や口コミを確認するユーザーが増えたり、逆にメディアサイトのコンテンツで気に入ったブランドや商品を見つけてから購入するユーザーが増えるなど、消費行動の中でメディアサイトが担う役割が変化しています。

このため、以前は「アフィリエイトなんて儲かる?」とやや懐疑的だったもののも、最近はアフィリエイトマーケティングに取り組む会社がアメリカでは増えています。従来はバナー広告の販売などでトラフィックを“受動的に”マネタイズしていたメディアが、アフィリエイトでのマネタイズを前提に、自社のメディア・ユーザー特性に合ったアフィリエイトプログラムを見つけて専用のコンテンツを制作するなど、進化しているのです。

この流れの中、個人のブログやSNSアカウント、法人・企業が運営するメディアを通してアフィリエイトで爆発的な収益を獲得するような成功事例がアメリカで増えています。

アメリカのアフィリエイトマーケティング成功事例(個人・法人)

アフィリエイトマーケティングの市場規模が拡大する中、大きく収益を伸ばす個人アフィリエイターや法人のメディアが増えています。以下、代表的な成功事例を紹介します。

Buzzfeed~広告+アフィリエイトで売上創出するニュースメディア

ニュースやエンターテイメント関連の記事コンテンツを提供するオンラインメディア・Buzzfeedは、アフィリエイトマーケティングでのマネタイズの成功事例としてよく取り上げられます。本社はアメリカ・ニューヨークですが、イギリスやフランス、日本など世界各国に展開するグローバルなデジタルメディア企業です。
 
WEBサイトへの月間ユニーク訪問者数は2億以上、各国の関連サイトも含めると合計6.5億以上。一方、2018年の売上は広告事業で年間約3億ドル(約330億円)、アフィリエイト売上を含むコマース事業で年間2.5億ドル(約270億円)とのこと。
 
Buzzfeedは、Amazonの流入元サイトの上位5サイトに入るなど、Amazonなどのアフィリエイトプログラムの活用のほか、いくつかの広告主とは直接、成果報酬型の(アフィリエイトマーケティングによる)パートナーシップ契約を結び、これら広告主のブランド・商品の販売に貢献することで売上を創出しているようです。
(参考:コマースと広告、融合・拡大させるBuzzFeedの試み

Buzzfeedがアフィリエイトマーケティングで成功した理由

とは言え、Buzzfeedはどんな商材でもアフィリエイトで販売する訳ではないとのこと。あくまで記事コンテンツで提供するのは、Buzzfeedユーザーに親和性が高い、ユーザーが欲しがる商品やブランドの情報が中心で、そもそも既存ユーザーと親和性の低い商品では成果が生まれないというのが基本的な考え方です。

またBuzzfeedで紹介する商品は他の同一カテゴリの中で一番良い商品であることが必要で、アフィリエイトで取り扱う商品やブランドについて下記のようなルールを基準にしています。

  1. 口コミ・レビュー評価が4つ星以上の製品
  2. 口コミ・レビューが複数ある製品
  3. 同一カテゴリの商品と比較して、価格競争力の高い商品
  4. Buzzfeed限定の割引など、価格施策のある商品

このような明確な基準をもって本当にユーザーにおすすめできる商品やブランドを、正確な事実に基づく、信頼性の高い情報コンテンツとして制作・提供している点が、ユーザーがBuzzfeedを信頼する理由であり、Buzzfeedがアフィリエイトマーケティングで成果を挙げている理由であると考えられます。

Wirecutter~30億円以上で買収されたオンラインメディア

Wirecutter2011年創業、2016年にアメリカのニューヨーク・タイムズ社に買収されたWirecutter(ワイヤーカッター)も、アフィリエイトマーケティングに成功したメディアの1つとして知られています。Wirecutterは、テクノロジー系ガジェットや家電製品、その他の日用品全般で、おすすめ商品を紹介したり、ユーザーのレビュー・口コミを掲載するサイトで、買収額は3000万ドル(約30億円)以上だったとされています。
(出典:NYタイムズ、31億円でガジェット系メディア買収
 
創業5年目にあたる買収前年の2015年に、WirecutterはWEBサイトを通じて1.5億ドル(約150億円)以上の商品を販売、そこからアフィリエイト報酬を得ていました。当時、広告によるマネタイズに苦戦していたニューヨーク・タイムズのようなメディア企業には非常に魅力的なメディア・ビジネスモデルと感じられたようです。
 
実際にWirecutterのWEBサイトを確認すると、Amazonや大手スーパーマーケットであるWalmart・Targetなどのアフィリエイトプログラムを活用して、収益を上げていることが分かります。

Jason Stone氏~アメリカで最も有名な個人アフィリエイターの1人

法人・企業が運営するメディアではなく、個人アフィリエイターとして成功し、莫大な収益を上げている事例もあります。アフィリエイトでの売上獲得に最も成功した個人の事例としてアメリカでよく取り上げられるのがJason Stone氏。現在では彼のSNSのアカウント名から「Millionaire Mentor」(ミリオネア・メンター)という名前でも知られています。
 
Stone氏はInstagramを活用、アフィリエイト売上で700万ドル(約7億円)を生み出したことで知られています。彼はInstagramのアカウント開設から半年で10万、さらに次の半年で100万フォロワーを獲得し、このフォロワーに刺さりそうな商品をアフィリエイトマーケティングの手法を使って紹介、売上を創出したとのこと。
(出典:How Social Media Marketing Generated $7 Million in Affiliate Sales for This Entrepreneur

2019年現在、Instagramのフォロワー数は500万以上でアフィリエイターと言うよりもインフルエンサーとして企業のマーケティング活動を支援するほか、自身の経験をもとにマーケッター向けのセミナーなどを行っています。

アメリカのサービスプロバイダーや代表的なアフィリエイトプログラム

最後に、アメリカのアフィリエイトマーケティングで活用されることの多いサービスプロバイダーや、代表的なアフィリエイトプログラムを紹介します。

アメリカの主要アフィリエイトサービスプロバイダー

個人アフィリエイターや法人メディア向けにアフィリエイトプログラムを提供するアフィリエイトサービスプロバイダーは、アメリカでは「Affiliate Marketing Platform」や「Affiliate Networks」とも呼ばれます。特にアメリカでよく知られている3つのサービスが以下です。

アフィリエイトサービスプロバイダー 主な特徴
Awin / ShareASale 2001年からサービスを提供しているShareASaleはアメリカ国内で4,500社以上の広告主と契約する巨大プロバイダー。2017年に世界各国でアフィリエイトプログラムを提供するAwin社のグループに。
CJ Affiliate By Conversant (Comission Junction) 20年以上に渡りアフィリエイトプログラムを提供する老舗で、広告主は3,000社以上。
Rakuten / Linkshare 1996年創業のLinkhareを2005年に楽天が買収、プロバイダーとしては老舗だが、広告主は1,000社程度とやや少ない。

主要なアフィリエイトプログラム(物販・通信・B2Bなど)

アフィリエイトマーケティングの成功事例の中でも紹介した物販系のアフィリエイトプログラムのほか、最近ではSaasサービスなどB2B系のアフィリエイトプログラムも増えています。

物販系のアフィリエイトプログラム

アフィリエイトプログラム 特徴・料率など
Amazon(アマゾン) 物販系で最も有名なアフィリエイトプログラム。商品カテゴリにより販売価格の1%-10%の報酬が支払われる。
Walmart(ウォルマート) 全米に展開する巨大スーパーマーケットチェーンのアフィリエイトプログラム。オンラインでの商品購入に対し、1%-4%の報酬が支払われる。
Target(ターゲット) アメリカのディスカウントスーパーのチェーンで、商品カテゴリーや月間の販売件数に応じて料率が1%-8%まで変動するアフィリエイトプログラムを提供している。
eBay(イーベイ) アメリカの老舗ECサイト・eBayが提供するアフィリエイトプログラム。商品販売時にeBayが得る手数料売上のうち、50%-70%がアフィリエイターに支払われる。

通信サービス系のアフィリエイトプログラム

アフィリエイトプログラム 特徴・料率など
AT&T(電話・インターネットサービスプロバイダ) 通信回線1契約に付き、$100。
Verizon(電話・インターネットサービスプロバイダ) 新規契約1件に付き、$75。
Frontier(インターネットサービスプロバイダ) インターネット回線1契約に付き、最大$200。

B2Bビジネス系のアフィリエイトプログラム

アフィリエイトプログラム 特徴・料率など
hubspot(コンテンツマーケティングツール) ベーシック契約1件に付き$250、エンタープライズ契約の場合は1件に付き$1,000。
SEMrush(SEOツール) 新規契約時に顧客が支払う額の40%。
Godaddy(サーバーホスティング) 新規契約1件に付き、契約金額の10%。
bluehost(サーバーホスティング) 新規契約1件に付き、$65。

以上、日本と同様にアメリカでもアフィリエイトマーケティングが拡大する樣子を成功事例を含めて紹介しました。昨今、アメリカのニュースメディアなどがマネタイズに苦戦する中、あらためてアフィリエイトマーケティングが注目されていると感じます。
 
また広告主企業も、新しいサービスのマーケティングで初期段階から積極的にアフィリエイトマーケティングを活用する企業が増えており、メディア側が利用できるアフィリエイトプログラムも多様化しています。

自社メディアのユーザーが購入する可能性の高い商品・サービスをアフィリエイトプログラムを活用して訴求することで、マネタイズに成功するメディアが今後増えそうです。

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