アスリートを通してより多くの共感を。スポーツ×社会貢献メディア『Sports for Social』の挑戦
「学生時代にスポーツを打ち込んだ経験があって、今もスポーツが大好き。」
「特別応援しているチームがあって、チームの勝ち負けは生活の一部。」
そんな方も多いのではないでしょうか?
そんな人を熱狂させる力があるスポーツを通して、社会貢献を発信しているのが、今回活動を取り上げるSports for Socialというメディアです。
「社会について少しでも考えること」が社会貢献だと話していた柳井隆志さんですが、スポーツを通じて社会貢献を発信する理由はなんなのでしょうか?
クラブの発信力を生かすために
──Sports for Socialとはどういうメディアなのでしょうか?
Sports for Socialとは、スポーツを通して社会貢献活動を応援するメディアです。
さまざまな企業・団体・個人の活動を、スポーツというフィルターを通して届けることに重きを置いています。
──Sports for Socialというメディアを始めたきっかけを教えてください。
元々は、Jリーグクラブの大分トリニータのオウンドメディア、Trinita for Socialとして始まりました。
Jリーグのクラブは社会貢献に取り組んで動いているのが多いのすが、その多くは自分たちの活動に関してしか発信していません。
それってもったいないなと思ったんです。
Jクラブには発信力があってそれが強みだと考えています。
そして、周りを見渡してみると企業や個人単位でいい取り組みをしている人がいます。
なので、Jリーグクラブが持つ発信力を使って、企業や個人でやっている社会にいいことを広めて行くためにSports for Socialは立ち上がりました。
──そういう経緯だったんですね。柳井さんご自身が社会貢献に意識が向き始めたきっかけはなんだったんでしょうか?
私自身は元々社会貢献に携わっていた訳ではありませんが、まさにSports for Socialと出会って社会貢献に関わり始めました。
私は大学までサッカーをやっていまして、その部活の繋がりでSports for Socialに出会ったのですが、スポーツを通して様々な良いことを応援、発信できることに大きな魅力を感じています。
個人レベルで言いますと、レジ袋をもらわなくなった程度の変化しかないのですが、企業さんと話をしている中で、社会貢献やSDGsの文脈で話をするのは勉強にもなるし、何か世の中に貢献できている感覚があるのは事実です。
そしてそういった情報を共有することや、調べること自体も社会貢献になっているのではないかと思います。
事実ではなく共感を
──では実際にどのようなコンテンツを発信しているのか教えていただけますか?
サイト全体で言いますと、社会貢献をしている個人や団体、企業に取材して、それを記事にしております。
記事の中でも特に大切にしているのが、その社会貢献活動には想いがあるのか、そして読者が共感できるのか、という点です。
事実だけでは人は共感しませんので、ストーリーを伝えることを大切にしています。
また、分野を限定せず、比較的幅広く発信していくことも大切にしています。
SDGsにも17も目標がありますし、一人一人興味がある分野は違います。
世の中に貢献するという想いにはいろいろあって良いんだと思うんです。
なので、メンバーが共感するもの、こと、人があって、伝えたいものがあるのであれば、積極的に発信するようにしています。
アスリート×社会貢献
──幅広い範囲をカバーされているんですね。具体的にはどのようなコンテンツを発信しているのでしょうか?
いろいろあるのですが、Sports for Socialとして、特に思い入れがあるコンテンツを3つご紹介できればと思います。
まずは町田也真人選手とヒアラブルデバイスメーカーOliveUnionの対談コンテンツで、サイト立ち上げ期の2020年8月に公開した記事です。
町田選手は片耳難聴であることを公表している選手なのですが、その状況と親和性のあるヒアラブルデバイスメーカーとの対談でした。
このコンテンツは町田選手が片耳難聴の当事者として本音ベースで考えを発信してくれたこともあり、反響が大きかったです。
町田選手自身がよく考えていて、話が面白いのですが、それも含めスポーツ選手の影響の大きさを実感した記事でした。
──2つ目を教えていただけますか?
続いては、元サッカー日本代表の巻誠一郎選手の対談記事です。
巻選手自身が、アスリートの社会貢献が持つ価値を感じている方で、引退後は様々な社会貢献に関わる事業を展開されています。
この記事では、「ピッチ外のアスリートの価値」を対談の中で上手く言語化し、表現しています。
そういう意味でもすごく印象に残っている記事の1つです。
──3つ目の記事を教えてください!
3つ目は大分のサッカークラブ、ジェイリースFC寄稿の連載コンテンツです。
企業に紐づいているクラブでありながら、クラブとしてSDGsに取り組んでいます。
クラブがということもそうですし、1団体が取り組んでいることにすごく価値があるなと感じていまして。
例えば、Jリーグの開幕戦ではゴミ拾いをしながら観戦にいくことを行っていました。
継続的な活動をして、発信するのは勉強になることばかりですし、クラブとして社会貢献をやっていきたい指標として、素晴らしいなと思っています。
共感の先にあるもの
──どれも興味深い事例ですね。記事に共通する、中心にある伝えたいメッセージは何なのでしょうか?
Sports for Socialとしては、こういう社会貢献がいいよね?ということではなく、選手や企業の話の内容と事実の裏にある想いを伝えたいと考えています。
想いを伝えることで、その記事をきっかけに、読者が調べたり考えたり、行動をしたりといったことに繋がると思うんです。
だって、「片耳難聴なんだって」という事実だけを知っても、障害に対する考え方は伝わらないじゃないですか。
ジェイリースさんの記事に関してもゴミ拾いをしていると聞くと「えらいね」としかならないですが、その活動の裏にある理由を知ることで共感が生まれるんです。
共感の先に考える、調べる、行動するというのが付いてきます。
そのために、Sports for Socialでは想いを伝えているんです。
──アスリートを通した情報発信をされていると思いますが、アスリートが関わることで生まれる価値は何だと考えますか?
より多くの共感が生まれることです。
Sports for Socialが持っている仮説として、スポーツファン、アスリートファンの方は社会貢献活動と親和性が高いと思っています。
今の世の中で大人になって、熱狂できる場所の1つがスポーツじゃないですか。
スポーツが持つ力は凄まじく、スポーツチームの勝ち負けで気分が左右されることもあると思いますし、熱烈なファンになると、チームのために生活をしている人もいるほど。
そういった存在の中心であるスポーツチームやアスリートが発信することがファンやサポーターに与えられる共感が多く生まれると思うんです。
熱狂されている先にある存在だからこそ響く。
だから、スポーツクラブやアスリートの発信には、ただ単にフォロワーを持っている以上の影響力と価値があると考えています。
想いを伝える価値
──実際に企業様やアスリートからはどのような声をいただきますか?
いろんな声をいただく中で、一番嬉しいのは、これからもお取り組みがしたいと言って頂けることです。
正直、Sports for Socialとしてはまだまだ規模が小さいですし、そんな媒体に対して「価値があるのか?」と疑問を持つのは当然だと思います。
ただ、Sports for Socialが大切にしている想いを伝える部分で、ただ情報を届けるよりも、企業の考えや想いを伝えることで、誰かの心を動かすことができていると考えています。
社会貢献意識の高い企業さんからそのように思われたのは嬉しい限りです。
──アスリートの方からはいかがでしょう?
大きく2つあります。
1つは社会貢献している企業のことが知れて嬉しいという声。
アスリートって企業に触れることが本当に少ないんですよ。Sports for Socialでは企業との対談コンテンツが多いのですが、企業のことが知れるのは、嬉しいという声をいただきます。
2つ目は、発信力が社会のためになっているのが嬉しいという声です。
スポーツというフィールド以外で、自分が力になれる場があるのが嬉しいと聞きます。
──最後になりましたが、将来の展望を教えていただけますか?
Sports for Socialが目指す先としては、想いと共感のプラットフォームです。
社会にはいろんないいことをしている人や団体がいると思うのですが、それ活動が社会の共感を生んで、そしてその共感がまた誰かの共感に繋がる。
そんな社会であったらいいなと思っていますし、社会にいいことから生まれる共感をつなげる存在としてSports for Socialがいればいいなと思っています。
編集後記
今回は、スポーツを通して社会貢献活動を応援するメディアSports for Socialの記事をお届けしました。
スポーツと社会貢献は、リンクしないように感じていましたが、人を熱狂させる力を持っているからこそ、より多くの共感を生むことができるというメッセージが印象的でした。
SDGsの達成が叫ばれている中で、何かを通じた社会貢献という形はこれから増えていくでしょう。この記事がエシカルや社会貢献が身近に感じられるきっかけになれば幸いです。
それでは最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
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