
最終更新日:2021.12.15
RPAとAIの違いとは?連携によるDX化など事例を含めた活用方法も解説
「人間の仕事はなくなる」というニュースが一時話題になったほど発達してきているRPAやAI。本来、RPAやAIは業務の自動化や効率化をするために開発されたものです。
しかし、RPAやAIに対する理解が浅いがゆえに、うまく活用ができない、という問題が起こっています。
事実、RPAやAI、Botなどの違いを明確に理解できている方は少ないのではないでしょうか?
そこで当ページでは、企業の業務効率化ツールであるRPA、AI、Botの違いについて活用事例を交えて徹底解説します。最後までご覧いただければ、RPAやAIに仕事を奪われることもなく、業務を自動化することが可能ですので、ぜひご一読ください。
それでは、まずはRPAとAIにおける定義の違いから確認していきましょう。
Contents
意外と説明できない?それぞれの言葉の定義とは

RPAとは?業務効率化ツールの代表格についてご紹介
RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、注目を浴びている業務効率化ツールの1つです。人間がコンピューター上で行う定型業務や繰り返し行うルーティンワークを、RPAロボットで自動化できます。RPAが得意としている業務領域は、下記2つです。- ルール化されている定型業務
- パソコンのみで完了する業務
単純な作業が得意であるRPAは、決められたルールのもとに、何度も同じ動作を繰り返すような業務に向いています。RPAでおこなう定型業務の工程は、作業内容が変更になったとしても変更した部分を修正しすぐに対応できます。また、自動化したい業務をRPAにレコーディングし、夜間に動作させておくことも可能です。
RPAは基本的にパソコンにソフトとしてインストールし、そこで行われる一連の作業工程を記憶することで業務を行います。そのため、RPAはパソコン上のみで最後まで完結するような作業に向いているでしょう。
では、続いてAIについてみていきましょう。
人工知能AIとは?2つの特徴についてご紹介
AIとは「Artificial Intelligence」の略で、いわゆる人口知能です。機械に人間と同じような知能を持たせたソフトウェアのことをAIと言います。AIの主な特徴は下記の二つがあります。- 自己学習機能がある
- 大量のデータを組み合わせて紐づけ分析できる
AIは機械学習機能によって与えられたデータの法則を見つけ出し、自動的にルールの判断をおこなえます。AIは自己学習機能があり変化するのに対して、決められた動きのみをするRPAとはそもそもの性質が異なります。
AIにおける機械学習の具体的な例としてわかりやすいのが、画像の分析などに用いられているパターン認識でしょう。AIに探しているものの形や色などの特徴を繰り返し認識させることで自動的に判別が可能になり、特徴を元に欲しいものを探して見つけられます。
RPAとAIの定義について理解できたところで、次項では活用事例も含めて、より具体的な両者の違いを見ていきましょう。
RPAとAIの違いとは?活用事例を交えて比較

RPA:定型化された業務をルール通りに自動化できるツール
RPAは、人間が組んだプログラムに対してそのとおりに動き業務を進めます。RPAに一度設定した作業は繰り返し実行され、素早く正確に作業を行います。つまり、RPAは人間が手動で作業していた単純作業などのルーティンワークを代わりにおこなう業務効率化を図るツールです。下記に、総務省が掲げるRPAの適用が可能な定型業務の事例を挙げます。
RPAで適用可能な業務事例一覧
- キーボードやマウスなど、パソコン画面操作の自動化
- ディスプレイ画面の文字、図形、色の判別
- 別システムのアプリケーション間におけるデータの受け渡し
- 社内システムと業務アプリケーションのデータ連携
- 業種、職種などに合わせた柔軟なカスタマイズ
- アプリケーションの起動や終了
- スケジュールの設定と自動実行
- 蓄積されたデータの整理や分析
- プログラミングによらない業務手順の設定
RPAはあくまでも人間が定めたルールに従い、そのとおりに作業を進めます。人間の判断力などを必要としない定型業務をRPAの活用により自動化しましょう。
AI:データを参照し主体的な判断を行えるツール
AIは物事を学習し判断できる、いわゆる人工知能です。AIは業務システムの中で頭脳として判断できますが、具体的な作業をおこなわないのがRPAとの大きな違いです。AIは、1つの業務が発生した場合、具体的にどのような作業をおこなえばよいのか判断します。そして、AIが判断した作業を、実際に手足を動かし進めるのがRPAというわけです。
つまり、頭脳として物事を判断して最適な選択をできるのがAI、具体的な作業を手足を動かして進めてくれるのがRPAだといえるでしょう。
このように、RPAとAIは明確に性質が異なります。そのため、近年ではAIとRPAを組み合わせた業務効率化が主流となってきています。特に、単純作業や事務処理などの多い地方公共団体などの公的機関から金融機関、銀行などではAIやRPA導入の流れが活発になっているようです。
定型業務の多い銀行では、今後も業務改善に向けてRPAやAIの導入が進められていくことでしょう。
業務効率化の事例
AIなどを活用した実際の事例としては、以下のようなものがあります。人工知能等を活用した業務効率化ソリューションの提供について
2019年にみずほ銀行で次のような声明が発表されています。
地域金融機関との協働による『業界全体の生産性向上』への取組開始
botとの違いは?連携して使うチャットボットの活用も

簡単に結論からお伝えすると、Botとは、問い合わせをするユーザーなどと対話をするチャットボット(chatbot)の略称です。
メッセージツールを用いて、ユーザーからの質問に対して対話形式で会話するサービスとして利用されています。業務の基幹とし判断するために用いられるAIや、単純な作業を自動的に行うよう利用されるRPAとは異なります。
また、AIとの大きな違いは、botには学習能力がなく、組まれているプログラムに対してひたすら作業を繰り返すのみという点です。
ただし、最近ではAIを用いて過去の会話履歴を分析学習するものも増えていて、botの回答精度が上がるよう取り組みが行われています。botは一度導入すれば、AIを組み入れなくとも継続的なメンテナンスにより回答の精度を高められます。
すべてのお客様からの問い合わせに対して電話対応やメール返信をおこなうには、多大な工数が発生するでしょう。そのような業務を効率化するためにbotは用いられ、Web接客やFAQのわかりやすい誘導など多岐に渡る場面で活用が進んでいます。
botの具体的な使用事例としては、下記が挙げられます。
社内における問い合わせ対応
人事や総務、経理、情報システム部などの部署に、他の部署から質問をする場合、各部門への問い合わせをbotが対応します。また、マニュアルがあればその内容への誘導、よくある質問なども準備することでその内容に誘導することも可能です。botによる自動化で各部署が質問対応に追われることなく円滑に業務を進められるようになり、業務工数の削減に繋がります。
カスタマーサポート
botで最もイメージされるのがこの「カスタマーサポート」でしょう。お客様からの問い合わせ対応に対してbotが対応します。それにより、メールや電話などの人的な対応が必要な問い合わせを減らせられるため、コールセンターなども廃止でき、大幅な人件費の削減が可能になります。「よくある質問」との組み合わせにより、簡易な質問はその内容へ誘導、複雑な問い合わせのみ有人の専門部署で対応するような仕組みを取るのが一般的です。
botとRPAの関係性について
botと似たものとして挙げられるのがRPAです。接客対応の窓口となるのがbot、その後の定型業務などの処理をおこなうバックオフィスのような存在がRPAと言えます。RPAとbotの双方をうまく活用できれば、大幅な業務効率化が実現できます。
なぜなら、窓口となるbotでユーザーの対応業務を効率化でき、そのあとの作業等もRPAで自動化され効率的におこなえれば、人的な作業は大幅に削減できるためです。
ただし、注意点として押さえておくべきなのは、RPAとbot両者ともそれ単体では学習機能がないということです。botで言えば、間違った回答処理設定がされていれば、ひたすら誤った回答を続けてしまうでしょう。また、RPAでは誤った業務を繰り返してしまい、回収作業も膨大になることがあります。
もし、botやRPAによる自動化された業務がクライアントや取引先に関わるものであれば、的外れな回答や誤った業務内容が伝わることで企業の信頼を失うことにもなりかねません。そのため、botやRPAを活用する場合には、人間がしっかりとバックアップする体制を整えておくことが重要です。
RPAとbotそれぞれの特性をしっかり押さえた上で組み合わせれば大幅な業務改善になります。それぞれの注意点も押さえ運用することで、RPAとbot両者のメリットを最大限活用できるでしょう。
インテリジェントオートメーション(IA)とは?AIと組み合わせてさらに効率化

それぞれの特性をふまえた上で、従来のRPAとAIを組み合わせてプロセス全体の自動化を実現することをインテリジェントオートメーション(Intelligent Automation)、略してIAと言います。
RPAによる業務の効率化はこれまでも図られていましたが、人間の判断を必要とするものについては代替できませんでした。しかし、このインテリジェントオートメーションはRPAにAIを搭載することにより、高度な判断や意思決定も含めてあらゆる業務の自動化を実現できます。
このRPAにおける自動化については、総務省でRPAの性能に応じてクラスを1から3まで分類されています。下記をご覧ください。
クラス1 | 定型業務の改善に対応している(現在、RPAを導入している企業の多くは「クラス1」) |
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クラス2 | AIと連携して非定型業務でも一部、自動化が実現されるもの |
クラス3 | より高度なAIとRPAが連携することで、業務プロセスの分析や改善だけでなく意思決定までを自動化できるもの |
すでに技術的には、「クラス3」のようなRPAとAIを組み合わせたものが実現できます。
日本語の対話ができるAIを活用し、対話だけでRPAを動かすのに必要なデータ入力が完了し全ての業務プロセスを完結することも可能とされています。※参照
これまでは、業務自動化のフローにはまず初めにRPAへの指示内容の決定と構造化するためのデータ入力が必要でした。しかし、インテリジェントオートメーションでは、AIの活用でRPAの自動化サイクルの各ステップをサポートし、その後も改善を続けます。
インテリジェントオートメーションのサイクルは、業務プロセスの検出から始まり、AIが従業員の業務を自動で観察、最適な業務フローを見出し、RPAによる自動化の方法を提案してくれます。自動化の分析にAIが使用されることで、業務のプロセスパターンを自動で理解し、RPAでの業務改善提案をおこなってくれるわけです。
その結果、人口知能(AI)を使えば使うほど業務が最適化されていき、あらゆる業務の自動化がAIとRPAの組み合わせでスマートにおこなわれます。
このRPAとAIを組み合わせたインテリジェントオートメーションの導入には、業務プロセスの整備統合から始めることが重要です。まずは、基本的な提携業務を洗い出し、それらを代替できるRPAの導入から進めましょう。
その上で、さらなる業務自動化に向けて、AI導入を自社との相性を見極めながら進めていくのがおすすめです。
実際に導入するには?RPAによる自動化で働き方改革の実現へ
では、実際にRPAを導入する場合はプロセスはどのようになっているのでしょうか。以下にプロセスを記載しているのご覧ください。- (1)RPAで自動化する業務の洗い出し
- (2)RPA対象業務の想定工数を可視化する
- (3)RPAツールの候補を決定
- (4)RPA運用ルールの整備
- (5)RPAの導入・検証
- (6)RPAツール本格運用開始
上記に記載しているRPA導入プロセスは必ず押さえておきましょう。
なぜなら、よくある失敗例として、RPAの導入自体が目的になってしまい、本来の目的を見失い目的達成が果たされないケースがあるためです。
特に一番はじめにおこなう自動化する業務の洗い出しは重要となります。社内でおこなわれている業務をすべて可視化し、何を自動化するのか見極めることが費用対効果に大きな影響を与えます。
RPA導入の失敗事例などをまとめた記事もあるので、絶対に失敗したくないという方はぜひご一読ください。
RPA失敗事例を確認したい方はこちら!
これまでAIやRPAの導入をしてこなかった場合には、まずRPAの導入から検討を進めることが良いでしょう。RPAは低価格ではじめられるサービスも多く、導入のハードルが低くなっています。
はじめてRPAを導入する方にも、手厚いサポートがあるサービスが多数あるので、非常におすすめです。RPA導入を検討している場合は、各社の価格やサポート体制なども異なるためこちらを参照ください。
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まとめ
今回は企業の業務効率化ツールのRPA、AI、Botの違いについて活用事例を交えて解説しました。最後にあらためてRPA、AI、Botの違いについて簡単にまとめておきます。-
RPA
- RPAとは:「Robotic Process Automation」の略で業務効率化ツールの1つ
- 特徴:ルール化されている定型業務の自動化などルーティーンワークをおこなえる
-
AI
- AIとは:「Artificial Intelligence」の略で、いわゆる人口知能。機械に人間と同じような知能を持たせたソフトウェアのこと。
- 得意なこと:自己学習機能による分析
-
Bot
- Botとは:問い合わせをするユーザーなどと対話をするチャットボット(chatbot)の略称
- 得意なこと:カスタマーサポートなど定型文を返す業務
働き方改革の流れもあり、社内の定型業務などはRPAやAIにより自動化を図りたいと考えている方も多いでしょう。今回紹介した各ツールの特徴を十分に理解した上で、適切な場所で活用していきましょう。
今回お伝えした内容が今後のビジネスの発展に役立てれば幸いです。