グロースハックとは?

2015年6月13日
exidea
世界で今注目されるWEBマーケティング職

WEBマーケティングの手法の中でも現在大きな注目を集めているグロースハック。

最近耳にされることも多いかもしれませんが、ではグロースハックとは一体何なのか?ここでは、その意味や仕事内容、事例を含め詳しく解説していきます。

目次


 
 

2010年にグロースハッカーという言葉が使われたのが始まり

 

グロースハックとは何か?

これを知るために、まずは「グロースハッカー」という言葉を初めて定義したショーン・エリス氏の言葉を見ると本質的な部分が分かるかと思います。

ショーン・エリス氏がグロースハッカーという言葉を自身のブログ「STARTUP MARKETING」で述べたのは2010年7月のこと。

そこで定義されたWEBマーケティング担当者の人間像がグロースハッカーと呼ばれ、彼らが行う仕事がグロースハッキング(日本ではグロースハック)と言われるようになりました。

※ショーン・エリス氏は、WEBサイトの改善サービスを提供するQualaroo社のCEO。氏は以前、グロースハックの代表的事例として頻繁に取り上げられるDropboxでもマーケッターをしています。

以下にその引用と翻訳をします。一部意訳しなければいけませんでしたが、書き手のセンスが失われてないようになるべく直訳に近い表現をしています。

What is a Growth Hacker?

A growth hacker is a person whose true north is growth. Everything they do is scrutinized by its potential impact on scalable growth. Is positioning important? Only if a case can be made that it is important for driving sustainable growth (FWIW, a case can generally be made).

The good news is that when you strip away everything that doesn’t have a direct impact on growth, a growth hacker should be easier to hire than a VP Marketing (or maybe an insider already has the needed skills). I’ve met great growth hackers with engineering backgrounds and others with sales backgrounds.

The common characteristic seems to be an ability to take responsibility for growth and an entrepreneurial drive (it’s risky taking that responsibility). The right growth hacker will have a burning desire to connect your target market with your must have solution. They must have the creativity to figure out unique ways of driving growth in addition to testing/evolving the techniques proven by other companies.

An effective growth hacker also needs to be disciplined to follow a process of prioritizing ideas (their own and others in the company), testing the ideas, and being analytical enough to know which tested growth drivers to keep and which ones to cut. The faster this process can be repeated, the more likely they’ll find scalable, repeatable ways to grow the business.

 
 
【グロースハッカーとは何か?】

グロースハッカーとは重要な目標を「成長」に置いている人のことを指します。彼らは、ビジネスを拡大させると同時にユーザーを満足させられるように、実施する全てのことにおいて潜在的な効果を徹底的に調査します。(※scalable growthというのが通常の翻訳では困難であるため、上記は意訳させていただきました。)

グロースハッカーは重要なポジションと言えるか?継続する成長を促すためであれば重要と言えるでしょう。(真偽はともかくとして)

良いことと言えば、成長において直接的に効果がないことを排除していく時に、グロースハッカーを雇うということはマーケティング担当副社長や部長(もしくは既に必要なスキルを持っている社内の人間)を探すより簡単ということです。私はエンジニアリングやセールスのバックグラウンドを持つ素晴らしいグロースハッカー達に会ってきました。

グロースハッカーの共通の特徴と言えば、成長や起業家的な発想による事業促進のために責任を取る能力を持っているということです。真のグロースハッカーは解決すべき問題を抱えたあなたのターゲットマーケットとあなたの持つソリューションを繋げることに燃えるような情熱を持っている人達のことです。

彼らは成長を促したり、他の企業の実績ある技術をテストしたり発展させたりするユニークな方法を見つけるための創造性に富んでいます。

効果的な(結果の出せる)グロースハッカーは、優先的に行われるべき事案(彼ら独自のアイディアや企業内のその他の人のアイディア)を計画的に進めるために訓練されている必要があります。

また、アイディアをテストすることや、成長促進につながる事案はどれで、それを継続するか、カットするかの判断ができる解析力に優れている必要もあります。このプロセスが繰り返されるのが速くなればなるほど、より彼らはビジネスを成長させるための大規模で反復性のある方法を見つけるでしょう。


 
 

グロースハッカーとは何か、簡単にまとめると・・・

 
【グロースハッカーとは、】

    • ・自身の活動の目標を「成長」に置き、そのことに責任を持てる人間。
      ・ターゲットマーケットへのリーチ(マーケティング)に燃えるような情熱を持っている。
      ・既存のマーケティング手法を発展させる、新しい方法を生み出せる。
      ・エンジニアだろうが、営業だろうがバックグラウンドは問わない。
  •  

    【そして、優秀なグロースハッカーは、】

    • ・実施するマーケティングの優先順位と取捨選択の判断をする力がある。
      ・改善スピードが速い。
      ・ビジネスを成長させる大規模かつ反復性のある方法を見つけられる。
  •  
    意外に思われるかもしれませんが、氏の言うグロースハッカーは必ずしもエンジニアである必要はないということです。

    グロースハックの「ハック(ハッキング)」という言葉がどうしても、ハッカソンをはじめ、テクノロジー分野で使われることが多いため(もしくはサイバーテロを始めとしたクラッキングと同義に使われるため)、システム開発の力を持っている人間がグロースハッカーと呼ばれることが多いです。

    しかし、上記のようなビジネス感覚を持ったITマーケッターがグロースハッカーであり、システムに強い人間もいれば、WEBデザインやコンテンツマーケティングに強いグロースハッカーもいるというのが現状です。


     
     

    では、グロースハックとはどのような仕事なのか?

     
    現在、様々な定義がグロースハックにはありますが、成長をハックする。ショーン・エリス氏の言われた内容を加味すると、以下のように定義をして良いかと思います。

    「ビジネスの継続的な成長(グロース)×IT、WEBにおける高い技術力による仕組化(ハック)」

    グロースハックは、サービスやプロダクトを成長させる施策と定義されることが多いですが、必ずしも成長の対象となるのはサービスやプロダクトだけでなく、採用活動でしたり、ブランド価値を高めることでしたり、ファンを集めるというケースにも行われます。

    これらをITやWEBの技術を使い、継続的な顧客獲得や利益向上に繋げるマーケテング活動を行っていくことがグロースハックです。前述したとおり、ITの技術、WEBの技術と言っても、エンジニアリング(プログラミング)は必ずしも必要ではありません。

    何らかの高い専門性(技術力)を持っていて、ビジネスを急激に加速させることができる、次の段階に引き上げられる企画力、ビジネス感覚があり、且つ、それを自らが実行に移し仕組みを作り上げていくということができればグロースハックは成立します。

    Google会長のエリック・シュミット氏と前プロダクト担当シニア・バイスプレジデントのジョナサン・ローゼンバーグ氏との共著『How Google Works~私たちの働き方とマネジメント』には「スマートクリエイティブ」という人たちが定義されています。

    このスマートクリエイティブがWEBマーケティングを専門としているのであれば、この人物がグロースハッカーの人物像にマッチしていると言えます。

    【エリック・シュミット氏の語るスマートクリエイティブ】

    「特定の業務、もっといえば職務や組織構造にしばられることなく自分のアイデアを実行する人。そのベースとして多才な専門性を持ち、好奇心とリスクを恐れない姿勢も併せ持っている人。すなわち、従来型の知的労働者とは異なる新種だ。」

    スマートクリエイティブはGoogle社が求めている人種なのですが、これとグロースハッカーは非常に近い性質を持っていると言えます。極めて経営者、起業家に近い気質を持った創造者・マーケッターであるということです。

    グロースハッカーもスマートクリエイティブも開発者であることが多いので、人まとめにシステムエンジニアと言われることも多いですが、その人がエンジニアなのか、マーケッターなのかというと、その境目がな、高いエンジニアリング力(創造力)を持ったマーケッターとも言えますし、マーケテング力の高いエンジニアとも呼べます。

    これまでの世の中にそんな職種が定義されたことがなかったので、今そういう人たちをグロースハッカーでしたり、スマートクリエイティブと呼び始めているということです。


     
     

    従来のWEBマーケティングと何が違う?

     

    従来のWEBマーケティング担当者の業務は、広告出稿を行ったり、SEOやソーシャルマーケティング、アクセス解析など、確立されたジャンルを地道にこなすというものでした。

    担当者の業務も通常は分断されます。また、WEBディレクターとして企画の立案のみを行い、制作や実行は外部のWEBマーケティング業者に頼むというのが一般的です。

    大きく分ければ、広告や業者を使うなどお金を掛けて対策をするか、時間と労力を掛けて自分が担当するパートの対策をするかです。

    これに対して、グロースハックはWEB、ITを使うことには変わりないのですが、お金を使わず頭を使うという点、使われていないリソースを活用して最小限の力で大きな結果を生むという点で大きく異なります。

    そもそもハックという言葉が上記のようなニュアンスを持っています。上記がどういうことかイメージがしやすいように2つほどグロースハックの代表的な例を基に説明したいと思います。

    1.Dropboxの紹介インセンティブによるグロースハック
    2.AirbnbのCraigslistを使ったグロースハック

    オンラインストレージサービスのDropboxが会員数を1億アカウント以上に引き上げたグロースハックはとても有名です。主に以下(1)と(2)が行われています。

    (1)トップページのイメージ変更、登録フォームの最適化、使用開始に至るまでの遷移の最適化など、ABテストを重ねてコンバージョンを最適化させる基本的に改善。

    (2)インセンティブ付与によるプロモーション。これは、友達を紹介してくれたら500MBの容量を紹介者にプレゼント。MAX16GBまでプレゼントするという施策を打った他、SNSと連携をすることで100MB程度のプレゼントを行ったなどです。

    上記(1)は、ランディングページやフォームのABテストによる最適化なので、これを高速で行って成約率を劇的に引き上げたのであれば優秀なグロースハックだとは思いますが、従来のWEBマーケティングでも良くある施策と言えるでしょう。私たちはこれを改善型のグロースハックと言っています。

    (2)は、真に機転の利いたグロースハッカーでないと出来ないことでして、この施策の導入がユーザー獲得を永続的に60%増やすことに繋がったとDropboxのCEOがとあるカンファレンスで語っています。どの期間でという言及はありませんでしたが恐らく毎月100,000ユーザーの登録が、毎月160,000ユーザーの登録になったというような意味かと思います。

    Dropboxは複数人でファイルを同期できることが大きなメリットになっているサービスであり、フォルダAは会社内で同期し、フォルダBは社外も含めた別プロジェクトで同期するなど、ユーザーが増殖しやすいサービスであるため、永続的に60%のユーザー獲得に繋がったというのはとてつもないレバレッジだったはずです。

    Dropboxがそもそもユーザーが紹介を行う動機を持ったタイプのサービスだったので、その動機を増幅させたという機転の利いたハックだったと言えます。

    続いて、Airbnbのケース。

    こちらはCraigslistを使って、約1,000万ものユーザーをお金を掛けることなく僅かな施策で獲得した事例です。
    ※Craigslist・・・ CtoCをメインとした様々なカテゴリを持つアメリカの巨大な売買コミュニティサイト

    Airbnbのグロースハッカーが行ったことは、CraigslistのバケーションレンタルのカテゴリがAirbnbのユーザーと被ることから、Craigslistへの投稿をAirbnbに自動投稿できるようにしたということです。

    これにより約1,000万のユーザー獲得をしているので、仮に1ユーザー獲得の価値を3,000円とするのであれば、これは実に300億円もの価値ある施策だったと言えます。

    さて、両事例に言えることは、お金を全く掛けていないこと、それから使われていないリソースを活用して小さなアクションで大きな結果を生んでいるという点です。

    Dropboxは既存ユーザーというリソースを最大限活用して、考案したシンプルな紹介制度から圧倒的な成長を生みました。

    Airbnbは同カテゴリの外部サイトというリソースを活用して、約1,000万ユーザーの獲得をお金を掛けずに、しかも最小限の力で行っています。

    これらは、正にハックのニュアンスに近い業です。

    ただし、グロースハックと言った場合、その全てが上記のようなハックのニュアンスに近い離れ業ばかりではありません。トップページのバナーをちょっと変更して成約率が20%改善したなどと言った場合、これは立派なグロースハックです。しかし、中々1回の改善でそういう結果が出ないので、ABテストを高速で繰り返すことでパフォーマンスを最適化していくことがグロースハックという見方がされています。

    上記のような1,000万、1億というユーザーをお金を掛けずに獲得してしまう離れ業はまた少し種類が違うハックなので、私たちは、これをイノベーション型のグロースハックと言っています。

    ここまで見てきた通り、グロースハックとは従来のWEBマーケティングとは形も効果も全く異なります。昔からこういう対策をしていたという人もクリエイティブな人たちの中には数多くいると思います。

    お金を掛けず爆発的な成長を生み出す仕組みを作る人たちをグロースハッカー。その仕事をグロースハックとして改めて定義したようなものですね。

    ちなみに、グロースハッカーとして第一人者のアーロン・ジン氏は、カンファレンスでグロースハックを以下のように定義しています。

    “mindset of data, creativity, and curiosity.”
    →データと創造性と探求心(好奇心)におけるマインドセット(思考法)だ。

    確かに、上記のようなことができる人たちと、そうでない人たちの差は、上記のマインドセットの違いかもしれません。

    また、グロースハッカーはデータ分析から最適なマーケティング手法を生み出し、実行まで全て自分でやってのけるという傾向があります。

    自らが実行しているので分析・検証の精度が高く、かつスピーディ。継続的に顧客獲得、売上増加につながる仕組み化を行える可能性が高くなります。この際、通常はマーケティング担当者が行わない領域であるデザインや、プログラミングまでスキルがあれば行います。

    グロースハックは、従来のWEBマーケティング担当者やWEBディレクターが行ってきた施策とは一線を画す内容と言えます。


     
     

    鍵となるアクション1:高速な改善

     
    AARRRといった概念があることはご存知かもしれません。

    AARRRとは、Acquisition(ユーザー登録)→Activation(利用開始)→Retention(継続利用)→Referral(他者への紹介)→Revenue(収益の発生)というWEBサービスの収益発生まで流れを現した概念で、この改善を行うことがグロースハッカーの主な仕事だと言われています。

    ただ、これはあくまで何を改善するかの基準であって、AARRRを実践することがグロースハックだ、AARRRを実践している人がグロースハッカーだというのは間違いです。

    これもグロースハックの一つのフレームワークであるというだけです。これに該当しないタイプの施策であっても、成長へのハックをする方法はいくらでもあります。

    さて、この「高速で」というのが中々曲者でして、データ分析力が優れている方はアクセス解析を見るだけでWEBサイトの改善ポイントが手に取るように分かるかと思います。この時、自分で実行できなければ「高速な改善」が成り立ちません。もちろんチームメンバーがすぐにそれを実行してくれるような体制を組めている場合は成り立ちますが、自分自身がこれを改善できる力があって初めて質の高い改善ができます。

    自分ができないので任せるのと、やれば自分が一番上手くできるが手が足りないのでその仕事を任せるのとでは、結果が全く異なります。前者は自分ができないわけなので完成イメージが明確に持てません。後者は自分ができるので完成イメージが持てます。どういう体制を組むにせよ、グロースハックはグロースハッカー自身が自ら改善する力を持っていることが必要です。

    先ほど、高速な改善というのが曲者だという話をしましたが、自ら実行できなければいけないという理由の他に、高速に改善していくことが難しい理由がもう1つあります。WEBの改善のセオリーで「一度に2か所以上の改善はしてはいけない」ということによるものです。

    例えば、キャッチコピーと購入ボタンを改善したとします。キャッチコピーの変更で0.2%コンバージョンが上がっていて、購入ボタンで0.2%コンバージョンが下がっていたとします。便宜上とても簡単な例にしましたが、2か所の改善をしてしまうと、どの改善が効果的だったのか分からなくなってしまいます。

    そのため一つ一つ改善を行います。ではどうやって高速にそれを行うのかと言うと・・・

    1.まずはデータ分析からサイト上で改善できるポイントを全て洗い出します。
    2.お互いに干渉し合わない改善ポイントをグルーピングします。
    3.干渉し合わない改善ポイントの中で最も売上や顧客獲得へのインパクトが大きいと判断される順に並べます。
    4.干渉し合わない範囲で全ての改善を施します。
    5.改善後、300アクセスのデータが溜まったら次の改善を行う。

    ※データの母数は統計学的には300以上あることが望ましいですが、元々3%あったコンバージョンが0.2%になってしまったなど、100程度の母数でも十分に判断できるケースもあります。

    上記を繰り返すことで、複数の改善を同時進行で動かすことができます。上記がグロースハックの一つ目のポイント、「高速な改善」です。なお、上記はあくまで当社で最も有効であると考える手法を述べています。


     
     

    鍵となるアクション2:イノベーション

     
    高速な改善と、もう1つ重要な鍵がイノベーションです。これは先ほど述べたDropbox、Airbnbの例がそれに当たります。これがグロースハックの醍醐味であり、グロースハッカーの力が求められるポイントです。ショーン・エリス氏の言葉の中では、「既存のマーケティング手法を発展させる、新しい方法を生み出せる。」この部分を指しています。

    成長には、既に世の中にある概念の中での成長と、まだ世の中にない概念を生み出すというイノベーション的成長があるかと思います。

    これはWEBサイトの話ではなく、ビジネスの話になりますが・・・

    例えば、DELLのビジネスモデルが既にある世の中で、Asusがより格安、高性能なパソコンを出していくというのは世の中にある概念の中での成長であって、DELLのビジネスモデルが存在する中で、iphoneをリリースしたアップルはまだ世の中にない概念を生み出すというイノベーション的成長を遂げていると言えます。

    グロースハッカーが行うことはマーケティングですが、マーケティングにおける既存の概念にはないイノベーション的成長を生み出すことができるかどうかがグロースハックには求められます。

    特にスタートアップ企業やベンチャー企業は元々劣勢の立ち位置から企業を成長させるものなので、既存の概念を覆すイノベーション的なマーケティングが求められます。これが、グロースハッカーが特にスタートアップ企業やベンチャー企業には必要だと言われる所以でしょう。

    なお、イノベーション的なマーケティングと言っても、イノベーションとは既存の概念の組み合わせであることがほとんどなので、あるWEBサイトにおいて既に誰かが行っていることを自分のWEBサイトに取り入れるだけで、それがマーケティングにおけるイノベーションになることもあります。


     
     

    事例1

     
    グロースハック・グロースハッカーという言葉が最も注目を浴びたのが、前述したAaron Ginn(アーロン・ジン)氏が、アメリカの選挙でロムニー候補の下、1億8,000万ドルもの献金を集めた施策です。

    有名なのは、献金画面にプログレスバー(今このくらい溜まっているということが視覚的に分かるゲージ)を設置したことですね。これは施策の中の一部ですが、様々な改善をデータに基づき行うことで、支持者の数も3倍以上にされたようです。

    グロースハックの特徴としては、上記の2側面が必ずあります。

    ・1つは、データを基に改善を高速で行うこと。
    ・もう1つは、改善の域を超える施策(創造性に富む施策)を行うこと。

    改善をすることで現状が良くなると判断できることは全て行います。ここで改善の域を超える施策(今回の例だとプログレスバーの設置など)を行うことがグロースハッカーのイノベーション的な側面の仕事です。

    行っていること自体はシンプルなので、「このくらいなら私にもできる」と思われるかもしれませんが、プログレスバーはファンドレイジングなどのサイトでは使われていたものの、選挙の献金サイトで用いるのは常識にはない概念でした。

    初めての施策なので裏目に出ることだってあります。非常識なことをすればバッシングされる可能性もありますし、数字が伸びないこともあります。リスクを背負い、責任を取る覚悟が必要です。

    成功への情熱を持ち、失敗のリスクも取りながら新しい施策を次々に考え、高速で改善を重ねる。創造されたものは改善の対象となり、目標としている成長に到達するまで、この創造と改善を繰り返し実践し続けること。これがグロースハッカーと呼ばれる人たちが行っていることです。


     
     

    事例2

     
    ここまでDropbox、Airbnb、アメリカの選挙の事例と、グロースハックの有名な事例を紹介してきました。

    上記は他でも述べられていることなので、ここではあえて当社のグロースハックの事例をいくつかご紹介したいと思います。

    まずは、当社が取り組む急速冷凍機(食材の細胞を壊さない特殊な冷凍技術)の販売代理店への施策の事例です。元々この会社ではある急速冷凍機の販売を行っていました。

    まずは最初に取り組んだ施策がSEOとPPCです。ロングテールのコンテンツマーケティングを主体に進め、月間検索数50というキーワードで70件以上の問い合わせを受けることに成功しています。

    次に行ったことは、ユーザーニーズを満たすために複数の急速冷凍機の取り扱いを行うことです。ここが中々難しいところでした。1代理店1メーカーという業界の大原則があったからです。しかし、これをクリアしまして、現在その会社では4社以上の急速冷凍機の取り扱うWEBメディアを展開しており、品川に店舗も出しまして、一か所で全ての急速冷凍機のテストができるというビジネスモデルを展開しています。

    (2016年2月追記)最近では、海外からもオーダーが入り、数十億円規模の取引の話が入るなど、この一つのアクションによりそれだけ大きな成果に繋がっています。

    さて、上記にようなビジネスモデルの転換は、ちょっと大掛かり過ぎて少なくとも「ハック」の概念には当たりません。しかし、私たちは本質を見失わないために上記のようにビジネスモデルを転換させたり、発展させたりすることもグロースハッカーの仕事だと考えています。

    概念自体はシンプルです。今まで1社の急速冷凍機メーカーの紹介をしていたところを、4社に切り替えてメディアを作ったということです。もしこれだけで売上が何十億も増えればそれはハックと言えるでしょう。しかし、そのために4社それぞれと契約をしたり、WEBと連動させるリアルの販売店舗まで出すというのは「ハック」という言葉の域を超えています。

    じゃあ、グロースハッカーがこれはハックにならないからやるべきでないと言ったらどうでしょうか?成長の機会を逸することになります。なのでグロースハッカーという言葉の一人歩きは非常に危険だと私たちは思っています。

    そのビジネスを圧倒的に成長させられる機転、アイディアが得られた場合、それがハックと呼べないものが含まれたとしてもグロースハッカーのミッションは「成長」以外では語ることができないので、行動に向けて実践をすべきです。

    さて、当社のグロースハックの事例をもう1つ挙げると、当社で運営しているECメディアにおいてアクセスの分析を重ねたところ、ユーザーはある二つの商品の購入で悩んでいることが分かりました。

    結果当社のグロースハッカーの取った手段は、この2つの商品に関するWEB上にある全ての口コミを自動で集め(2,000件以上)、データマイニングから9つの指標を定義し(マトリクスを定義し)、この2つの商品の比較をしました。そうしたところ、2つの商品の売上は月間150万円から300万円程度に跳ね上がりました。

    そして現在構築中なのが、その9つの指標での口コミを自動集計する仕組みの構築です。WEB上のクローリングと、それらの口コミのテキストマイニングをすることで、自動的にコンテンツが更新されていく仕組みです。テキストマイニングの基礎データはできているので、後はブラッシュアップです。

    2つの事例共に、ランディングページの改善やSEO対策、ABテストなどグロースハックの基礎となる「高速な改善」は随所で行っています。そしてデータ分析によりユーザーニーズを捉え、今世の中にはまだない仕組みをクリエイトしているという点は共通します。

    改善にもイノベーションにも終わりはありません。生み出されたものはどこまでも改善していき、改善がピークに達する前にイノベーションポイントを見つけ、新しい価値を生み出していくという、継続的な取り組みこそがグロースハックと言えます。

    グロースハッカーの仕事は現在のWEBの領域において、これ以上なくクリエイティブな仕事と言えるかと思います。

     
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